Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

疑問

 
ツォンがショックを受けている事はフラアにもよく理解できる。
フラアは、出来る限りの優しい顔をして、ツォンの表情を覗き込む・・・。
 「私たちにもわからないの・・・、
 ウィグル王列伝は、ウェールズ国王の治世中にいきなり途絶えてるし・・・。
 一般に言われているのは、何らかの天変地異が起きたようだってことよ・・・。
 でも聞いて?
 私たちのこの国は神聖ウィグル王国・・・。
 400年前滅びたとしても、その王位の血筋の物が、
 このラシっていう土地に再び築きあげた、かつてのウィグルを継承する国よ。」
そこでようやくツォンは落ち着いたようだ。
 「神聖ウィグル王国・・・?
 じゃ、じゃあ、ウィグルには違いないの・・・?」
 「ええ、そうよ! だからあなたと同じ言語で会話もできるんじゃない・・・!
 それに今、ウィグルの宗教は、ヤズス会マグナルナ派と言って、
 天使シリスを奉じる宗教よ?
 さっきの魔女云々ってのは・・・厄介な習慣だけど、
 基本的には天使シリスが造り上げた、過去の王国の栄光を取り戻そうとしている・・・。」

そこでツォンは頭を抱えて悩み始めてしまった・・・。
多少、母性本能をくすぐられる姿だが、
今はそんなことどうでもいい。それよりも突っ込みたい事がある。
 「ね・・・?」
 「んん? なに?」
 「一つ思ったんだけど・・・何で・・・わざわざ400年も眠っていたの?」
その質問の答えが返る前に、
天井に浮かんでる映像に変化が起きていた。
2~3人の男が、この光る船(?)に興味を持ったらしく、この機体を覗き込んでいる。
フラアは自分の存在を覗かれているような錯覚に陥る。
 本当に向こうから見えてはいないの!?

しばらくツォンはその両方を見比べていたが、
やがて彼は一つの答えを出したようだ。