悪夢の一日の終わり
ディジタリアスにしても、これ以上自分が何かするつもりもなかった。
自分に出来ることは全てやりつくしたし、
頭の良すぎる彼は、自分の欠点も熟知している。
ここは自分では役に立たない・・・。
神聖ウィグル国王アイザスならば、その地位なりの言葉や行動が有効だと思うのだが・・・。
「兄上・・・。」
「う、うむ・・・そ、それでは我らが同朋・・・フラアよ。
今は何も考えられまいが・・・これだけは覚えていてほしい。
我ら兄弟は・・・そなたを親族・・・いや、家族として迎えることに何の抵抗もない。
我らを兄のように頼ってくれて良いのだからな?
・・・そなたは、決して一人ぼっちではない・・・。
母君の今際の言葉を・・・忘れないでいるのだぞ?」
アイザスのその言葉に、弟ディジタリアスは不満はなかった。
問題はそれがフラアに届いているかどうかなのだが、
肝心の彼女は小さく「ハイ・・・。」と頷くと、
退出しようとするアイザス達を振り向きもせずに毛布を肩から掛けた・・・。
王達がゆっくり・・・静かに部屋から出ると、
フラアはまるで、母親が子供に接するかのように、
自らの父母のシーツをかけなおした・・・。
「お母さん、お父さん・・・ あたし・・・。」
何かをフラアは決意したかのようだったのだが・・・、
結局その先の言葉は彼女の口から出なかった。
再び静かな空間となる・・・。
「フラアねーちゃん、・・・おいら寝るけど・・・。」
遠くからツォンが声をかけてきた。
寝ずの番をしようなんてとこまでツォンは気が回らない。
「寝るけど大丈夫?」という単純な問いかけとしてしか、意味をなしてないのだ。
ただ、フラアにしても余計な気遣いなどうっとおしいだけだと思っているのは違いないのだが・・・。
「・・・ツォン君、私はこのままでいるわ・・・。
あなたはゆっくり休んで・・・。
いろいろ・・・ありがと・・・。」
しばらくツォンはフラアを眺めていたが、
やがて大きな毛布を頭からスッポリかぶって眠りにつく。
部屋の外には衛兵がいるから、フラアは無茶はできないだろう。
そんな体力もないだろうし・・・。
そしてすぐにツォンは深い眠りに落ちた・・・。
復活したてで長い一日を過ごしたのだ。
彼も無理を続けていたのだ。
・・・静かな時を過ごし続けると・・・、
フラアも、そういう小さなことに気づくことは出来る。
ただ、考えがまとまらないだけで・・・。
家族を失ったショックで意識はしっかりしているものの、
心が難しく物事を考えることを拒否してしまっている。
これから自分はどうすればいいのか・・・。
今夜一晩で・・・答えは出るのだろうか・・・。
フラアは一人膝をかかえ、いつの間にか、
その眼をつぶり、全ての思考を放棄した・・・。
復活したてで長い一日を過ごしたのだ。
彼も無理を続けていたのだ。
・・・静かな時を過ごし続けると・・・、
フラアも、そういう小さなことに気づくことは出来る。
ただ、考えがまとまらないだけで・・・。
家族を失ったショックで意識はしっかりしているものの、
心が難しく物事を考えることを拒否してしまっている。
これから自分はどうすればいいのか・・・。
今夜一晩で・・・答えは出るのだろうか・・・。
フラアは一人膝をかかえ、いつの間にか、
その眼をつぶり、全ての思考を放棄した・・・。