Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ヘファイストスの葛藤・語り継ぐネレウス42

  
その瞬間、ヘファイストスの槍がかざされた!
 「黙れ、黙れぃっ!!」
穏やかな話し合いと思われていた空気が一変する。
タケルは目の色を変えて、サルペドンの元へと走り寄った。
だが、サルペドンは背後に近づくタケルに手を伸ばし、彼の接近を制止する。
 「待て、タケル・・・! もう少し・・・。」
サルペドンとて、ヘファイストスの一喝に怯む筈もない。
自らの代わりに責めを負った先代ヘファイストスに報いるためには、
この程度のことで身を引くわけにはいかないのだ。
だが、ヘファイストスは立て続けにサルペドンに激しい言葉を吐き続けた。
 「言うに事欠いて、わしの先代の名を出すとは何事だっ!
 ええ、何事だ!?
 貴様に何がわかる? わかると言うのだ?
 ポセイドンに唆されて、愚かな道に走ってしまった男の二の舞になれというのか?
 しかも当のポセイドンは、この地より逃げおおせて、
 地上で優雅な暮らしでもしているのだろう?
 いいや、そうに違いない!
 その時、先代は水牢に入れられ、地獄の責め苦を与えられ続けたのだぞ!
 わしは許せない、そう、許さない!
 足の悪い先代が閉じ込められた牢は、
 時間と共に、水位が上昇し、呼吸を苦しめる!
 立ち上がることすら辛かった先代が何を思って、生き地獄を味合わされていたか、
 貴様に分かるのか!?
 いいや、貴様なぞどうでもいい、どうでもいいんだ!
 わしはあの男、ポセイドンに思い知らせてやりたいだけなのだ!」

サルペドンの拳に力が入る・・・、
その爪で手のひらの皮膚が破れそうなほど。
だが、それを悟られてはならない。
ヘファイストスにも・・・スサの皆にも・・・。
そしてサルペドンの心に湧き上がる怒りの炎・・・!
 ゼウス・・・! 貴様っ!!

イメージ 1