Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリー第二章 第五話

 
ああ、麻衣はなんて可愛いんだろう? 
一人悦に入ってると、携帯の向こうから「ママに代わって?」という妻の声が聞こえてきた。
 『あなた?』 ハッと我にかえる自分。
 「あ、ああ、何だい、百合子?」
 『麻衣の言ったお祖母ちゃんの事は気にしないで・・・、子供の言う事だし・・・。』
 「ああ、大丈夫だよ、気になんかしちゃいないさ。」
 『それよりあなた。』
 「ん? 何だい?」
実を言うと、妻はこの一瞬の間が怖い。いつかお見せしよう。
 『無理しちゃ駄目よ、危ないと思ったら、・・・手を引いてね。』
 「・・・ありがとう百合子・・・、決して危ないことはしないさ・・・!」
今日、二回目の「ありがとう」が自然に口に出た。
そういや、前はいつだったかな?
私はおやすみを告げて、携帯を切った。「よーし! やるぞーッ!」
我ながら現金である。
カラ元気だけではない、
電話してるうちにふとした事に気づいたのだ。
被害者の一家は熱心なクリスチャンだった筈、
・・・麻衣のセリフの「じゅーじか」が思い出すきっかけとなった。
彼らは毎週日曜には、親子三人で教会に通っていたとも聞いている。
実際のところ、そこも引っかかっていた。(神社で自殺するものかな?)
駄目もとで、教会に向かってみよう。
場所はある程度把握している。
うまく行けば、教会関係者に事件の感想ぐらいは取れるかもしれない。

さて、教会の敷地には何台か車が止まっていた。
そのうちの一台に目が留まる。
・・・あの家族の車だ! ここに来ていたのか?
私は車を敷地に停め、教会の正面の大きな扉を開いた。
 「すいませーん、夜分失礼しまーす。」
しばらくすると、神父と思しき白髪交じりの年配の男性が現れる。
 「・・・どちら様でしょう?」 
とりあえず記者という身分は隠して・・・と。
 「○○さんがこちらにいらっしゃると、伺ったんですが・・・?」
神父は、あからさまに迷惑そうな顔で「もうお帰りになりましたよ。」と、ぶっきらぼうに答える。
ごまかされるものか。
 「ですが、車は表に停まったままですよ?」
私の指摘に、神父の表情に変化が生じる。
何か、・・・良くないことが起こったのか?