Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリー最終章 第三十四話

 『それは、娘のことを言っているのですか・・・?』
 「娘さんは『彼女』を助けたいと言ったそうじゃな。
 ・・・ならばわしらと行動を共にさせてはもらえんじゃろうか?」
 『娘は・・・、麻衣はまだ10歳です・・・。
 種族の自覚も誇りもありません・・・。』
 「そうか、ではこういう風に考えてはもらえんかの?
 いま、わしの周りにいる者達は、『リーリト』の存在に気づき始めておる。
 勿論わしは、お前たちの争いには関知しない。
 じゃが、ここで彼らに恩を売っておけば、後々何かと都合がよくはないかね?」
 『・・・他人事のようですね?
 私たちが、イヴの子孫達といがみ合うようになったのは、
 あなたの思惑ではないのですか・・・?』
 「・・・痛いところを突くのう。
 じゃが、わし自身、ヴォーダンの心の奥深くは窺い知れんからの・・・。」
 『それに、あの人形がどうなろうと、私たちには何の関係もないはずです・・・。』
 「・・・そうかね、仕方ない・・・、それがおまえさんの意思だというなら、
 運命とはそういうものなのかのう・・・。」
電話の奥の百合子は、レッスルの言葉に反応した・・・。
私の意志が運命を・・・? 
運命とは自分の意思で変えることができるのだろうか・・・?
自分の選択は、種族の一員としては間違ってはいない。
夫が危険に巻き込まれて、
自分以外の人間に死を与えられたとしても、それはそれで問題はない。
では、なぜ、心が揺れる?
何故、ここで口が開いてしまうのか・・・?
 『ブレーリー・・・レッスル様・・・?』
 「んー、なんじゃね?」
 『娘をそちらに預けても、・・・私は”リーリト”として、
 間違っては・・・いないのでしょうか・・・?』