Ｌａｄｙ メリーと異教の騎士２２

　
　「いや、・・・ｽﾞﾋﾞｯ　ホントに悪かった。
　じゃあ、さっそく調査を開始しよう。
　時間がないとは言っていたが・・・、娘さんの身は今のところ安全なのか？」
　「身体的には・・・。
　ただ、いつまでもリジーの怨念の影響を受けたままでは、
　精神そのものが、回復不能なまでに壊れてしまうかもしれない・・・。
　まだ・・・娘の精神は無事なはずよ・・・。
　今現在では、私もコンタクトできないけど・・・。
　それより・・・。」
　「それより？」
　「あなたが、もし、正義感とか・・・ヒューマニズムなんてものを持ってたら急いだ方がいい。
　あの怨念は伝染する・・・。
　一度犯罪を起こすものがいれば、それこそ連鎖的に街に拡がるわ。」
　「はぁ！？　・・・それはいつ！？」
　「それはわからない・・・まさしくウィルスと同じに考えて？
　感染・・・潜伏・・・発症・・・そしてまた拡散・・・。
　感染率が高くないのが救いだけど、その凶行の餌食になる人間がどれだけでるか・・・。」
　「感染しやすい人間の指標なんてあるのか？」

メリーは考える。
・・・別に百合子は心理学を学んだわけでも、精神医学に明るいわけでもない。
自分なりに答えを出すとすれば・・・。
　「そうね、・・・心に矛盾を抱えてるもの・・・歪んだ愛情を備えているもの・・・、
　そして、他人の感情に感化されやすい者・・・。
　そんなところかしら・・・。」
　「なるほどね、・・・わかった。
　明日から・・・いや、明日は朝一で依頼があるんだ。
　それと同時遂行でいくつもりだが、構わないな？」
　「ええ、結構。
　私は日中は姿を隠してるけど、連絡は随時行うから・・・。」