Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

Lady メリーと異教の騎士32

 
ハロルドは気を取り直して本題に入る。
 「で、・・・用はなんだ?」
 『車の方向が家と違うわね? 
 どこに行くの?』
 「まずは、メシだが・・・、今朝の依頼主が持ってきた案件がな、
 こっちの方なんでな、ヒマつぶしに下調べをしとこうと思ってな。」
 『依頼は何だったの?』
 「息子の素行調査だと・・・、少し様子がおかしいらしい、
 ああ、それとな。」
 『何?』
 「お前さんの言ってた、リジーボーデン・・・か、
 そいつの生家が近くにある。
 近くって言っても州を越えた所だが・・・。」
 『やっぱり・・・。』
 「やっぱり? おいおい? まさか、この依頼に関係あるとか言わないよなぁ!?」
 『それはわからないわ・・・、でも、私の感知能力は何かを告げてるわ・・・。』
 「感知能力? アンタ予知能力でもあるっつーのか!?」
 『今はおぼろげだけどね、・・・ライフルを持った少年の姿が視える・・・。
 今はそれだけだけど・・・。』

百合子のリーリトとしての能力は、人形の身になった今でも衰えはしない。
もちろん、人形オリジナルの能力としての、他人の思念を集めてしまう生態もそのままだ。
その能力同士のコントロールというか、バランスをとるのはそれなりに容易とは言いづらいが、
感情をなくした身では、それを苦にする事もない。
感知した情報を、役に立つものか立たないものか、そのまま流れ作業のように判断していく。
そして、血の気が失せるのはハロルドだ。

 「・・・ちょっと待て。 ライフルを持った少年? 
 それって、オレの依頼を受けた少年の事か!?」