Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

ランディ プロローグ48

 
遠くからも地響きが聞こえる・・・。
大勢の騎馬の群が、テルアハの街壁を襲っているのだ・・・。
城壁を固めたこの街は、そうそう落ちる事はないだろうが、
防戦一方ではいずれ・・・。

 「・・・それで伝令は何と!?
 援軍は来ないと言うのか!!」
 「それが・・・エア王陛下から預言を賜れたと伝えてきたのですが・・・!」
 「このイルの襲撃の事をか!? もう間に合わぬではないか!!」
 「そ、それが、とにかく守りに徹せよ、
 黒雲と雷鳴を従えた戦士が、この戦局を一変させるので、
 その機を逃さず、攻撃に転じろ、というものです!」
 「な・・・なんだそれは!?
 戦士・・・というのは、一人なのか!?
 王都からやってくるのか!?」
 「そ・・・それは不明ですが・・・この文面ですと一人のようにしか・・・!?」
 「陛下は一体、何の夢を見られたというのか!?
 確かに陛下の夢は外れた事もないし、疑いようもないが・・・これでは
 あまりにも・・・!」
 「・・・城主様・・・しかし、
 あの東の空は・・・?」
 「む? 空がどうしたぁ!?」
 「や・・・やけに厚い雲が立ち込めていませんか・・・?
 ま、まるで大雨でも降るかのような・・・。」
 「む・・・。
 この時期に大雨など・・・確かにないはずだが・・・。」
 「もしかすると・・・陛下の預言は・・・。」

彼らの耳・・・いや、カラダに不気味な振動が響く・・・。
イル兵の騎馬隊の地響き・・・いや、これは違う・・・。
 遠雷・・・!?
遠く東の空から・・・ぶ厚い・・・
まるで、辺りの光を全て吸い込むかのような不気味な積乱雲が、
テルアハの東・・・広大な平原の上空に沸き立ち始めていた・・・。