Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

忘れられた男

 
 「法王ランドレットよ!
 ご自分で言ってる意味を理解されてるのか!
 被疑者であるこの娘は、ともに育った兄とは血が繋がっていないと言う話をしていたのですぞ!?
 インセストそのものが成立していないではありませんか!!」

 「あ!?・・・あ・・・!」
ようやくその事実に気づいたランドレットの顔から血の気が引いていく。
だが、ここで崩れる訳にはいかぬ!!
 「し、しかし、彼女は供述書に署名を・・・!」
 「署名!? 拷問の後に書かせた署名に何の意味があると言うのだ!
 その苦痛に耐え続け、
 署名を拒める者などどれだけいると言うのだ!
 自分達が治外法権にいるからと、好き勝手しすぎなのではないですか!!」
今まで日蔭者だったディジタリアスにここまで言われて、ランドレットの血管はブチ切れる寸前だ。
 「お、おのれぇ!
 いいか! 者ども、構わん! 刑を執行せよ!
 この場の実権を握っているのは我ら法王庁なのだ!!」

だが、さすがに場内の兵たちも、この状況で直ぐには動ける訳もない。
ディジタリアスもこれ以上は体力の限界だ。
国王アイザスは思いもよらない事態におろおろするばかり・・・。

この混迷を極めた舞台に最後の終幕を与えたのは、
・・・忘れ去られたツォン・シーユゥ!
難しく考えることも熟考することも苦手な彼だか、
直感のひらめきだけは目を見張るものがある。
彼が理解したのは「フラアが天使シリスの子孫である」こと、それだけ!
それで彼の意志は決まったのである。

ツォンの操るキントクラウドは遠隔操作も可能なのだ。
ツォンから発信した電波を受信したキントクラウドは、
流星のような速さで、ラシ上空の夜空の闇を切り裂いていく!!