Lady Merry の日記

Yahooブログから引っ越してきました。

シルヴァヌスの森 32

 
下り斜面はついに終わりを告げ、今度は急勾配の登りとなる。

・・・ん!?
タケルの視界に異様な物体が現れた。
建造物・・・!?
いや、あれは木立・・・。
そうじゃない、
密集した木立が絡み合って天然の社のようになっているのだ・・・。
では・・・敵は・・・シルヴァヌスは!?
 『タケル! そろそろ近いはずだ! 天叢雲剣を撃って位置を確かめるか!?』
 「いいや! もう必要ねぇ!! ・・・それっぽいのが見えてきたぜ!」
良く見ると、登りきった林の向こう辺りに木々の生えていない一帯がある・・・。
 参道?
タケルは足を緩め、息を整えながらゆっくり進む。
周りに動物たちの気配はあるが、襲ってくる様子はない。
タケルの意識は社に向けられながらも、360度全てに気を張り巡らせる。
・・・ここへ来て襲撃が止まった・・・!?
一体、なぜ?
いま、タケルは斜面の部分を完全に登り切り、参道らしき道に出る。
右手にその異様な構えを見せる・・・恐らくはシルヴァヌスの植物神殿が見える。
大きさは日本の神社でも見られるような、奉物殿を想像すれば良いのだろうか。
正面は開かれており、
中央の舞台のような壇上に行くまでには、木々の根っこで織りなす階段がある。
相変わらず、周りは霞がぼんやりかかっているが、
当然、壇上の軒下から奥は薄暗い・・・。
しかし、確かに周りに生物の気配はあるのだが、人間そのものがいそうにない・・・。
シルヴァヌスとやらはここにはいないのか?

タケルは社の軒先に蠢くモノを発見する。
あれは・・・大蛇か!?
長さ3~4メートルはありそうな・・・胴周りなどタケルより太いだろう・・・、
あまりにも鮮やかな薄翠色のカラダが、柱に巻きついている。
あんなもんに襲ってこられたら・・・。
まして毒を持っていたとしたら、さすがにヤバい!